ECサイトの運営コストにおいて最も大きな割合を占めるのは「宣伝費」「広告費」だと言われています。
一方、実店鋪を展開している企業では、コスト内の宣伝費・広告費がそこまで大きな割合を占めることはありません。
こちらでは、宣伝費・広告費がECサイト運営最大のコストである理由についてお話しします。

コストの半分を宣伝費・広告費が占めているサイトも珍しくない

一般的に、企業における宣伝費・広告費の費用は、コスト全体の5~10%だと言われています。
その割合は企業の規模が大きくなるほど下がっていき、上場企業では売上高に対して3.5%程度の広告費用しかかけていないケースも少なくありません。
では、ECサイトではどの程度の費用が宣伝・広告に充てられているのでしょうか。
2015年にECサイトを対象として行われた調査では、平均して売上の20%程度が宣伝・広告に費やされていることがわかっています。
ビジネスモデルによっては、コストの半分程度が宣伝費・広告費になっているECサイトもあるようです。
重要な時期を見計らって、売上を超える金額を宣伝・広告に費やす例もあります。
このように、ECサイトは実店鋪を持っている企業よりも多くのコストを宣伝・広告に割いています。
ECサイトは、宣伝・広告を重要視していることの現れと言えるでしょう。

ECサイトの宣伝費用は「直接費」

上述のとおり、ECサイトでは多くの費用が宣伝費・広告費に充てられています。
実店鋪に比べると、明らかに宣伝・広告が重視されているようです。
ECサイトでは、なぜここまで多くの費用が宣伝にかけられているのでしょうか。

その背景には、ECサイトの最もたる特徴である「店舗を持っていない」という事実が存在します。
まずは、店舗を持ってビジネスを展開していくケースを想定してみましょう。
商品やサービスを売るうえでの手段として、接客や商品の美しい陳列、営業活動などが挙げられます。
広告・宣伝の出稿もそうした手段のひとつです。

一方、ECサイトにはそもそも接客や商品をディスプレイするための店舗がありません。
営業担当もいないサイトがほとんどでしょう。主なアクションは、宣伝・広告程度しかありません。
つまり、ECサイトでは宣伝・広告活動が実店鋪に比べると圧倒的に重要なのです。実店鋪における宣伝・広告が数ある活動の一部であるのに対し、
ECサイトではほとんどメインの方法です。このことを考えると、コストの多くを宣伝費・広告費が占めているのは不思議なことではありません。
実店鋪が存在するような一般的なビジネスにおいて、広告費・宣伝費は販売機会の増加を支援するための「間接費」と考えられています。

一方、ECサイトでの宣伝・広告は、販売機会増加を目的とした活動のほとんどすべてと言えるものであり、宣伝費・広告費は売上増加に直接つながる「直接費」です。
実店鋪経営とECサイトの広告・宣伝には、こうした大きなギャップがあります。

広告・宣伝の効果測定は「CPO」で

広告・宣伝の大目標は、「新規顧客の獲得」です。基本的に広告を大規模に展開するほど多くの新規顧客を獲得できますが、
コストばかりかかっていては意味がありません。広告・宣伝の効果を知るうえで指標のひとつとなるのが、「CPO」という数値です。

「CPO」とは「Cost Per Order」の略であり、新規顧客との取引1件に費やされた広告コストの平均値を表します。
「広告宣伝費÷受注件数」という式で算出されます。「新規顧客を1人獲得するためにかかった費用の平均と置き換えてもいいでしょう。
CPOは低ければ低いほど望ましいということになります。反対に、CPOが高ければ効率のいい広告展開ができていないということです。
予算の組み直しや、より顧客のアテンションを惹きつけるための広告方法の見直しが求められます。
上述したようにECサイトでは、広告・宣伝が新規顧客獲得のためのメイン活動です。
そのため、CPOが低い場合も広告の手を緩めず、さらに費用をかけて大規模な広告を展開していくのがセオリーとなります。
新規顧客の獲得数は広告の規模に応じて増えていくため、CPOはさらに下がり利益は増していきます。

おわりに

ECサイトにおいて多くの費用が広告・宣伝にかけられるのは、実店鋪以上に広告・宣伝が重要だからです。
販売機会は、まず新規顧客にアピールしなければ生まれません。
そして、ECサイトは通常、宣伝・広告以外のアピール手段を持ち合わせていないのです。
宣伝・広告費の額が、そのまま「新規顧客を獲得する力」を表していると言えるでしょう。
ECサイトの運営者の方には、コストを気にせず広告・宣伝を展開していく姿勢が求められます。上述したように売上の半分を広告に費やすケースも珍しくありません。
さらなる新規顧客獲得のために、リスクを恐れず大胆な広告展開を行うようにしましょう。

参考URL
(https://www.tsuhan-marketing.com/blog/archives/2509)